自分に嘘をつく

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「ダメかもな...」 店長が呟くと 店員の女の子達は ちらばり それぞれ仕事に戻って行った ちらばる寸前 また、ため息が聞こえた 「牧、お前も仕事に戻れ」 店長に肩をポンッと 叩かれた... 「...はい」 ポケットから 名札を取りだし 胸ポケットに 安全ピンを刺した 目の前にある 空の皿を持って 店の奥のキッチンに 向かった 流台では上田が 食器を洗っていた 「う......」 上田を呼ぼうとしたが ためらってしまった さっきの先輩の言葉が 口に蓋をかけた "上田の事が好きだろ?" 好き? 分からない 分からない 分からない... 「――ゆ.....!」 分からない... 「――ゆ...た...!」 分からない... 「――ゆうた...!」 分から... 「――優太!」 「うわっ!?」 気づくと 目の前には上田がいた 「どうしたの?皿なんか持って立ち尽くして?」 「えっ?あぁ何でもない...」 「...この皿よろしく」 「うん、分かった!」 上田は笑顔で 皿を受け取り流台に 向かった 「上田、先輩帰ったから...」
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