自分に嘘をつく

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ガタッン! タタンッ! バイトの女の子は 大きなゴミ箱を 投げ捨てた 「...牧くん...歯、食いしばってくれるかなぁ?」 「...えっ?」 バシンッ!! 大きな音が響いたと 思ったら 急に左頬に 痛みとシビレが走った 「........?」 何が起きたか すぐに分からなかったが どうやら、叩かれたらしい 「...ホントなら、自分で分からないといけないんだよ!」 「だけど、特別に教えてあげる」 「.........」 「...さっきの上田ちゃんの言葉...『優太が私を望むのを、私は待ってる』って言ってたんだよ...」 「.......」 「...上田ちゃんは牧くんが好きなんだよ!」 「........」 オレは言葉が出ず ヒリヒリとシビレる 頬を押さえていた 「その痛みが、上田ちゃんが、今抱えている心の痛みだと思って...」 「...痛み......」 バイトの女の子は 流れでる涙を 袖で拭い 裏口から店に戻って 行った オレは 頬の痛みを 耐えながら 店から離れ ゆっくり家に 帰った その日の夜は ベッドに横になり ずっと考えていた 上田がオレのことが 好きだって事と...
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