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少年は、幼くも力強い瞳でそれに応えた。
「よろしいっ」
「アレーン?置いてくわよー?」
ニカッと笑って立ち上がると、玄関から声が聞こえた。その声には若干の苛立ちが籠っている感じがした。
「そろそろ行かないと。後でなに言われるかわかんないし」
とは言っても既に文句を言われるのは確定しているので、後は程度の問題である。
「いってらっしゃい」
今度こそ駆け出した少年を、フェルナは我が子のように優しく見送った。
「……いらない心配だったかな」
一人残ったフェルナは、リビングでそう呟きながら少年のまっすぐな瞳を思い出し、
「ホント、どっちにもそっくりよね」
親友達の顔を頭に思い描きながら、上機嫌に家事を再開した。
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