Prologue:『始まりの始まり』 1-2

3/12
前へ
/760ページ
次へ
 しばらくすると店主が手に二つの袋をぶら下げて戻ってきた。シャルはそれを貰うと代わりにアレンの分も含めて何枚か銅貨を払い、笑顔でお礼を言った。勿論アレンの分のお金は事前に貰っている。 「ありがとう」 「まいど。今日も広場に行くのかい?」 「えぇ。でも、今日はいつもとちょっと違うことをするつもりなの」 「おっ、なんだか楽しそうじゃないか。なんだい?」 「それはもちろんヒミツよ。じゃあまた来るわね、おじさん」 「さようなら」  シャルが悪戯っぽい笑顔を向け、二人はすっかり顔馴染みになった店主に別れを告げて店を後にした。 「いつもと違うことって?」 「だからヒミツよ。心配しなくても後でちゃんと教えてあげるから、早く行くわよ」  そう言って結局その時に実際体験するまで教えてくれないのだから、シャルはやっぱりフェルナの娘であると思いつつ、アレンは後を追った。         †   †   †  
/760ページ

最初のコメントを投稿しよう!

236人が本棚に入れています
本棚に追加