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「そんな事は……」
「ミリーだって、まさか赤点はないだろ?」
なんやかんやと、彼女も必修では二人と同じクラスなのだ。言うほど成績が悪いとは思えないが、
「…………」
天を仰いだまま固まった表情に、何も言えなかった。
「そ、そう言えば、二人とも実習のクエスト決まった?」
何とも言えない空気が流れ始めたので、リオンが透かさず話題転換を試みた。
「んーん」
「私もまだです」
二人もこの空気は耐え難かったようで、余計なことは言わずに大人しく便乗した。
新入生クエストとは違い、来週から始まる学科別の実習は内容、メンバーなど全てが学園側から指定される(内容、メンバー共に複数いる学科担当教諭達が協議して決める)。その為、毎回誰とどのようなクエストを受けるのかというのが一つの楽しみでもある。
「アタシ誰とかなぁー。二人とならいいのに」
「そうなると良いですね。お二人となら楽しそうですし」
「あぁいや、二人となら楽できるかなぁーって……」
「ミリー、君って……」
不純な動機に、リオンはやれやれと額に手を当てた。
その隣で、ステラも苦笑を浮かべる。
「多分週末までには通知が来ると思いますが、一緒になっても楽かどうかは保証出来ませんよ?」
「ふぇ?」
途端にステラとリオンの表情に影が差した。
「……問題用紙を提出した時、クライヴ先生から仄めかされましたから」
「『準備はちゃんとやっとけよー、心の』だってさ……」
「うわ……」
数日前の新入生クエストで、二人は難度Sクラスの内容に挑戦し、見事達成した。
パーティーを組んだ四年生五人の力が大きかったのは言うまでもないが、それでも初めてのクエストで最上難度のクエストを成功させた事実は、他の一年生達だけでなく、教師陣をも驚かせた。
とはいえ、純粋に驚いている生徒達と違い、教師陣は直後にあるこの中間試験で二人の実力のほどを測ってやろうと画策しており、あれでもないこれでもないあっちの方が面白そうこっちの方が面白そうと、小躍りしながら二人に放り投げる予定の無理難題を模索していたのだった。
はっきり言っていい迷惑な二人は当然ながら必修担当であるクライヴに異議を申し立てたのだが、やる気の欠片も感じられない応答文からするに、不発に終わってしまったのは明々白々たる事実だった。
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