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この二人がやってきたのは、恐らく……。
「単刀直入に言おう。我々は、お前を連れ戻しに来た」
「えっ?」
予想と真逆の台詞に、思わず顔を上げた。
「当初は父上もお怒りの余りお前の名前を口に出す事すら禁じられていたが、それでも最近は僅かにではあるが収まってきた御様子でな。今月に入ってすぐ、我々に迎えを指示された」
「医院の方でも、中途入学の手続きと試験にさえ受かれば九月から通えると仰ってくださっているわ。途中からのスタートになるけれど、貴女ならきっとすぐ同期の子達に追い付ける……いいえ、追い越せる筈よ」
「ま、待ってくださいっ」
「どうかしたの?」
慌てて割り込むと、ルナがキョトンと小首を傾げた。
今一度、確かめる。
「その、お二人は私を、連れ戻しに……?」
「そう言っているだろう」
「ですが私はその、逃げ、出して……」
言葉が、途切れた。
そう、自分は逃げ出してきたのだ。周囲から、一族から、誇りから、惨めにも情けなく背を向けたのだ。だからステラは、二人からの、一族からの糾弾を覚悟していた。
だというのに、実際には予想と真逆のことを言われてしまった。こんな自分が何の罰もなく元いた場所に帰って構わないのかと、狼狽を隠せない。
「勘違いをするな」
マルスが、冷たい声を発する。
「お前が何処に逃げようともティエラの人間であるように、一族の使命からは決して逃れられん。あそこはお前がいなければならない場所であり、拒否権など初めから存在しない」
髪よりもほんの僅かばかり濃い色合いの瞳は、冷たく湿ってパリパリに乾いた土のようだ。
言葉を返せない。返す言葉が浮かんでこない。口の中がネバネバして気持ち悪い。思考がまともに働かない。
「咎には罰が必要だ。だが、お前への罰が追放と結び付く事は無い。或いはそれこそが罰だと思え」
罰。罪人へ下される裁き。贖罪の為の苦しみ。
(罪……)
そう、自分は罪を犯したのだ。だからそれを償う為に戻れと、マルスは言う。償うことが出来れば、ステラ自身も心に抱えた重石から解放される。
でも……
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