第二章 第二話:『銃爪と爪痕』

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 防音に加えてある程度の耐魔法・耐衝撃措置が施されているにも拘らず軽い地震並みに揺れるとは、中で何があったのか少し想像が付かなかった。少なくとも、自分が全力で壁に魔法をぶつけたとしても隣接する部屋くらいにしか音は届かないだろうし、校舎を揺らすなんてまず無理だ。  再び、ディノの思考が憂鬱に駆られる。 (いるんだな、世の中には……)  凡人には到底辿り着けない領域を易々と踏み越えていく、天賦の才を持った者が。  思えば、“彼女”もその一人だった。 「ビックリした。何があったんだろ……」  騒ぎのあった方へと視線をやりながら、デルフィナは寄せていた身体を離した。 「さあ。それより僕もう行くよ? 次戦闘学だから向こうの校舎だし」 「わたしだってそうよ。あ、っていうかこれ! もう見た?」  本来の用件を思い出したデルフィナは、制服のポケットからぐしゃぐしゃになった紙を広げて見せた。  すぐに自分が今朝読んだ物と同じ内容の紙だと確認して、ディノの気分は再び沈む。見たも何も、彼女の用件を察していたからはぐらかそうとしていたのにと、解決法を導き出せていないままの現状に心底うんざりした。 「……見たよ。一緒の班だね」 「……それだけ?」 「…………」  押し黙る。視線を俯けても見えるデルフィナの表情は、辛さと憤りが入り混じったようなものだった。それがまた、ディノの心に暗い陰りを生む。 「わたし、さっき先生に事情を言ってディノだけでも班替えを頼んだの。でもダメだって、そんな理由で班を替えてたらキリがないって。……“そんな”って何よ!? あいつがディノにしたことは――」  突然、言葉を切ったのと同時に、デルフィナの表情が変化した。
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