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「ああ、いや。えっと、まだ通知は見てない……のかな?」
「通知?」
「うん。僕ら、実習で同じ班になったんだけど」
「えっ、ホントに? ステラ、知ってた?」
「………はい」
僅かな間と共に返したステラの表情は、やはり気拙そうだ。
「なぁんだ、アタシたちも一緒だったんなら早く言ってくれればいいのに」
「それは、その……」
軽いイジワルでもされたかのような声に、言葉を濁す。
確かに、二人は基礎学校時代のクラスメイトだ。だがこの再会は、ステラにとってまったく思い掛けないものなのだった。
実はステラは、彼らがガーデンへやってきているのを知らなかった。
三人が通っていた基礎学校は医療学院に付属する形で成り立っているので、殆どの卒業生はそのまま医療学院へ進学する。“あの時”以来会っていなかったとはいえ、まさかディノ達も自分と同じようにこちらへやってきていたなどとは欠片も思っていなかった為、通知を見た際、そこに二人の名前があったことに二重に衝撃を受けたのだ。
とはいえそれも半信半疑で、もしかしたら同姓同名が偶々二人被っただけなのかもしれない、と微塵も有り得よう筈がない可能性を抱いていたところへ、見覚えのある後ろ姿を見付けて立ち尽くしてしまったのだった。
「あの――」
「どうしてここにいるのか……って顔、してるね」
「…………」
先を読まれて、また視線を逸らしてしまった。そんなに分かり易い顔をしているのだろうか、今の自分は……と思わず確認したくて顔に伸ばした手を胸の辺りで留めて、小さく握った。
だが……。
「どうして……?」
先に言われて、それでも訊かざるを得ない。
何故、彼らは医療学院ではなくこちらへ来たのだろうか。
ディノの家もデルフィナの家も、それなりの名家だ。地の大陸に於ける名家とは多くが医療方面での功績を認められた家系を指し、二人の実家も、ステラの実家ほどではないがそれに当たる。
そんな二人が医療学院ではなくガーデンへやってきている理由が、ステラには解らなかった。ガーデンにも医学部はあるが、必修の実習で同じ班ということは二人とも魔法学部なのだろうし、他学部の授業も受講出来るとはいえ、医療学院付属の基礎学校に通っていた彼らが態々こちらで医学を学ぶ必要性はないのだ。
それに、ディノだ。彼が今この場にいることこそが、ステラには最も信じられなかった。
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