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「そりゃあもちろん、アレン君と相性が良い事よ。光と火なんて、まさにお似合いじゃない」
「なっ!?」
途端にシャルの顔が髪と同色になった。
「アレン君もこんな子で良かったらいつでも言ってね。どこへなりとも連れてって良いから」
「ちょっ、お母さん!?」
「あら、何かしらシャーロットちゃん?」
当の本人を前にしてアレンにまで話を振るフェルナを止めるべくシャルが口を挟んだが、否定したくないけど認めたくもないというなんとも言えない状態に陥ってしまった。
せめてもの報復にとキッと母親を睨むが本人は不敵な笑みを浮かべていて、こうなってしまっては口では勝てないと解っているので、
「知らない!」
結局逃げるように席を離れるしか、選択肢が残されていなかったのだった。
「あっ、シャル待ってよ!」
アレンも急いで立ち上がるが、
「おばさん、ごちそうさまでした」
きちんとお礼を言うのも忘れない。
自分の娘と違いしっかりしている少年を見て、フェルナは顔を綻ばせた。
「またいらっしゃい。シャルー!今日はどこまで行くのー?」
「いつもの神殿前の広場!アレン早くしなさいよ!」
「今行くよ!それじゃおばさん、おじゃましました」
「あっ、アレン君!」
突然、フェルナは駆け出そうとする少年を引き留めた。
「さっきの相性の話なんだけど、何も恋愛に限った事じゃないの」
言いつつ立ち上がってそのまま近付き、
「たぶんこれから先、いろんな人と出会う事になると思うわ。その中で、やっぱり相性の良い子達は自然とあなたに惹かれて来ると思うの」
まだ小さなその手をしっかりと握り、しゃがんで、その黄金色の瞳に目線を合わせた。
「その子達はもちろん大切にしてあげて。でも、それ以外の子達とも、分け隔てなく接してほしいの」
そして、まだ穢れを知らないその純粋な心に、想いを託す。
「光と闇の精霊王は夫婦だけど、本当に仲の良い親友でもあるの。あなたにもきっとそういう人が現れるから。ううん、もしかしたら、もうすぐ傍にいるのかもしれないわ。それに二人にとって、他の精霊達は子供のようなものだから」
最後に、瞳と同じく太陽のように眩しい黄金色の髪をクシャッと撫でた。
「それから、シャルの事、これからもよろしくね。あの娘(こ)は確かに強い娘だけど、いざという時は護ってあげてね」
「うん!」
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