不思議な出会い

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――――――――― ―――――― ―――… 葵「あれはアカン!!あんなんバシィッと決めてるとこ見たら、誰であっても惚れる!!」 稽古も終わり、晩ご飯を食べている時でさえ、さっきの稽古の内容を熱論する父と娘。 父「やろ?惚れるなよ?」 葵「あ、父さんは論外やな」 父「ひどっ!!」 そこに一通り仕事を終えた母さんがやってきた。 母「そういや、何で帰ってくるん遅かったん?」 葵「ん?あぁ…なんかな?」 あたしはご飯を頬張りながら、あった出来事を思い出して父さんと母さんに話す。 葵「……という不思議な出会いがありまして」 父「そりゃ猫神様ちゃうか?」 ズズッと味噌汁をすすりながら、父さんが呟く。 葵「猫神様ぁ?」 …そのまんまやんけ!! 母「あたしも聞いたことあんで~。確かこの辺りの土地の守り神やったっけ?」 え、母さんまで知ってるん!? 父「そうそう。純白の毛並みに深紅の瞳!見るからに神々しいやろ?」 葵「せやなぁ…」 確かに言われてみれば、神々しかったかもなぁ…。 …なんか若干、上から目線やったし。 母「そういや蔵になんか書物的なんあったんちゃう?」 葵「んじゃ、ちょい探してみるかなー」 あたしん家は地味にでかい。 けど豪邸って訳じゃなくて、無駄に土地があって広いだけ。 ごちそうさま、と手を合わせて、食器を台所へ持っていき、あたしは蔵へ足を向けた。 .
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