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葵が蔵へ向かった頃、部屋では…
父「いやー…葵も強なったなぁ…。今日稽古してて改めて思たわ」
母「そりゃ、あんだけ熱心に取り組んでたらねぇ。私的には、もう少し女の方も磨いて欲しいもんやけど」
そう言って夫の前に淹れたお茶を置く。
父「素は良いねんけどなぁ~…。お前に似て」
お茶を啜りながらぼやく。
母「もう!!お父さんったらぁ!!」
――バシンッ!!
そんな夫の言葉が嬉しかったのか顔をうっすら赤く染め、片手で頬を押さえながら力任せに叩く。
父「ぐふっ!!」
お茶を飲んでる時に叩かれたのである。言わずもがな、吹いた。
母「あらやだ、拭くもん拭くもん」
そう言ってタオルを取りに立ち上がる。
父「ゲホッゲホッ…。あ、そうや母さん、あれ来月に決まったで」
むせながらも、思い出したことを口にする。
タオルを持って戻ってきた母が、タオルを父に手渡しながら会話を続ける。
母「あぁ、あの道場仲間さんがこっちに引っ越してくるってやつ?」
父「そうそれ!何でも色々工面して、門下生とかも全員来るらしいわ」
母「あの人…まだそんなお人好しなことやってんのねぇ」
父「…せやなぁ、凄いわホンマ」
母「…ってか、葵が言ってたやつどう思う?」
父「猫神様…か。あんなんは今や伝説とかになってるからなぁ…。たまたまそういう猫を見ただけやと思うけど」
母「やんなぁ…あ、風呂沸いた。お父さんどうぞ」
父「はいよー」
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