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自転車に跨りながら、校舎の壁に付いている時計を見る。
約束の時間まで後10分。
学校から家まで、普通にこいで20分。
…こ れ は !
葵「…とばしたら、いける!!」
葵の目がキラリと光る。
そして、ものすごいスピードで校門を飛び出していった。
――香織Side―
葵が飛び出していった後、私達はカラオケへ向かった。
香「毎日大変やなぁ~」
さっきのを思い出し、思わず呟いてしまった。
「葵ちゃんって毎回来れへんよなぁ?なんでなん?」
前を歩いていた1人が振り返ってそう聞いてきた。
香織はあぁと相づちをうち、言葉に詰まることなく説明していく。
葵と幼なじみの香織にとって、こういうことを説明するのは慣れっこなのである。
香「葵ん家って道場してんねん。しかもそこの1人娘…跡取りになんねんなぁ。やから、ちっさい頃から英才教育な訳よ」
「マジで~!?英才教育とか!!…やばいなぁ」
そう、やばいんです。
ちっさい頃から葵は、柔道・剣道・合気道etc…
武道という武道を叩きこまれている。
しかも、女らしくもあれ、というお母さんの言い分で、書道に華道に茶道まで、鬱陶しいぐらいの教育をされている。
よぉやるわ、ホンマに。尊敬する。
香「いざって時は、助けてもらい~。むっちゃ強いで、葵は」
「葵ちゃん…お、男前…っ!!」
…ホンマにかっこいいねん。冗談抜きで。
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