4616人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
――葵Side―
葵「いやぁぁ!!間に合わん!!これ絶対間に合わーーん!!」
計算ではイケるはずやったのに!!
まさかの信号という罠!!!!
あたしは近道として細い裏道に入った。こっちの道の方が早く着ける気がしたからである。
自転車を激走させていると、スッと真っ白な猫が目の前に現れた。
葵「っうわあ!!!?」
あたしは慌ててハンドルをきる。
葵「あ」
バランスを崩したあたしに待っているもの、
それはTHE☆地面(キラッ)
――やっば…倒れ…っ―
すると、スルリとあたしと地面の間に、さっきの猫が入り込んできた。
葵「猫っ!?危な…っ!!!!」
あたしが転けるまでのあの短い時間で、その猫と目が合った。
とても、とても綺麗な紅。
一瞬にして目を奪われた。2つの紅い瞳に。
葵「キレ…」
ガシャーーーン!!!
葵「ったぁー!!」
転けた。見事に転けた。
自分…何してんの…。いくら綺麗やからって…転けてる最中に見入ってどないすんねん…。
そして1人ぶつぶつ呟いていた。
葵「…!」
ふと気配を感じて顔を上げると、綺麗な紅の目。
猫があたしの額に顔を近付けていた。
葵「――?」
〔お前…なかなかいい眼をしてるな…〕
頭の中に、直接声が響く。
葵「…まさか、猫ちゃんの声?」
.
最初のコメントを投稿しよう!