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〔よし、決まりだ〕
葵「……は?」
え、やっぱ猫ちゃんの声!?
〔…だが、まだだ〕
葵「え、ちょ、猫ちゃーん?」
何1人…ちゃうわ1匹でしゃべってんの!?
〔もうじき、その時が来る〕
葵「時…?」
〔お前は、俺を満足させてくれるやつかな…?〕
葵「え…?」
一瞬、猫ちゃんの顔が哀しくみえた気がした。
―♪~♪~…
その時携帯が、ポケットの中で鳴った。
葵「うわっ!?」
転けてしまって、あたしの太ももの下敷きになっている携帯に目を向ける。
〔…では、また会おう…〕
視界の端で蒼白い光が瞬く。
葵「……おらん…」
前を向くと、もうあの猫の姿はなかった。
葵「…不思議なこともあるもんやなぁ…」
パンパンと制服をはたいて自転車を起こし、転けてしまって、ぶっ飛んだ鞄をかごに入れ直す。
葵「あ、そーいや…」
ポケットから携帯を取り出す。
さっきの音はメールや、なと…
――カチカチ―
葵「………」
―――パタン
携帯を閉じて、ポケットに入れ直す。
葵「……時間のこと忘れてたぁあぁぁぁ!!!!」
急いで自転車にまたがり、爆走である。
葵「…何やったんやぁ!?…あれ…!!」
そんな呟きは、風に呑まれて消えていった。
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