瀬戸の小島

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陽光を照り返し、まばゆい光を放つ波打ち際で、わたしと美智子、洋介と美香で、水を掛け合い、子供のように、はしゃぎまわる。 「くらえ、わかめ攻撃!」 「くらうかっ!」 洋介の投げた、海草の束をひょいと避けて、水を掛ける。 「あの二人、元気だね……」 「そうですね……」 とうに疲れて波打ち際に座り込む、美智子と美香が、あきれて言う。 「まあ、元気でなによりだ」 と、いつの間に来たのか、弘樹が笑って言う。 「弘樹は混ざらないの?」 と、美智子が、ちょっと皮肉めいて笑った。 「よしてくれよ。遥にも言われてたんだ。俺はジジイだと」 と、弘樹は苦笑した。 「おまえこそ、周平と青春したらどうだ?」 と、弘樹は意地悪そうに笑って、横に立つ周平を指差した。 とたんに美智子は、真っ赤になり、「ばっ、バカ言わないでよっ!」 と、うつ向いた。 「あ、そう。おまえはどうなんだ、周平?」 と、弘樹は周平に振る。 「俺は……どっちでもいい」 と、周平は腕を組んだまま、反対を向いた。 弘樹と、美香は目を合わせて、お互いに、やれやれとジェスチャーしたのだった。 「おーい!そこのバカ二人ー! そろそろ帰るぞー!」 弘樹が、大声で叫んだ。 わたしと洋介は、同時に「誰がバカ二人だー!」 と言って……同時に顔を見合せ、フンッと、そっぽを向いたのだった。 「まったく……そんな、びしょびしょになるまで遊ぶか、普通?」 あきれる弘樹に、タオルを貸してもらいながら、わたしは聞いた。 「それで? その秘密の洞窟って、どこにあるの?」 わたしは目を輝かせながら聞いた。 代わりに美智子が答えた。 「別に秘密でもないんだけど、向こうに岩場があるでしょ? 昔来た時に、従兄弟達と行ったんだけど、けっこう深い洞窟があるのよ」 美智子は、数百メートル先の岩場を指差した。 「へえ……」 わたしは、さらに目を輝かせた。 「でも、危ない場所らしくて、大人達にさんざん怒られたわ」 「ほほう……」 今度は弘樹が、目を輝かせた。 「ちょっと!あんた達!」 美智子は、言った事を後悔した。
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