プロローグ

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――――6月中旬 少年が祖父の死の知らせを知ったとき、何も感じなかったという。 実感がわかないからだそうだ。 最近は殆ど会うこともなく、年頃故の恥ずかしさに顔をあわせようとしなかったからだ。 誰もいない祖父母夫婦の家の一室で黒い学ランに身を包み、身なりを整える。 今日はお通夜であり、正座の我慢大会が開催されるのと全く変わらない程度にしか少年は感じなかった。 6月にもなり暑さも増した。学ランを着用した我慢大会も自動的に追加される。 まだ時間に余裕があるからか、学ランが暑いからか、ボタンは上から二つ開けている。 親戚一同、またその他の友人、仕事関係の人間がぞろぞろと屋敷に集まる。 昔ながらの日本家屋に最新の電化製品が揃っており、なかなかに特異な組み合わせだが、今気にするようなことではないし、目もくれるひとは殆どいなかった。image=429662177.jpg
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