プロローグ

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痛む足を少しの間抱えてから、この痛みの原因である木箱に手をかてた。 少年にとってはこの寂れた木箱は諸悪の根源であり、自分の不注意などどこふく風である。 箱の大きさはティッシュペーパーの箱を2つ並べたくらいの大きさで、きれいな直方体のシルエットだ。 箱の封には錆付いた鉄製の金具で、それが四方にあり、滅多な振動ではフタが開かないように配慮されている。 少年は金具にそっと手をかけて、ゆっくり金具を外す。 4つの封を解き、多少のわくわく感を抑えられないのがご愛嬌といったところか。 パカリとフタをとると、幾重もの半紙に包まれた時計が出てきた。
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