12月の空

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「親父、まだ寝てんの?」 「お~きてるよー」 なんだその情けない返事は。 まぁ、昨夜も遅かったんだろうし土曜日ぐらいは寝かせてやるか。 「じゃ、オレ部活行ってくるから。朝食は作っておいたからちゃんと食えよ?」 「まかされよ~」 ホントに気の抜けた親父だ。 きちんと鍵を閉め、歩いて15分の冬月高校へ向かう。 その道中で必ず出会う人物がいる。 「おはようございます、久城君。」 「おはよう、折原。」 彼女は折原 奏(おりはら かなで) オレの幼なじみであり、オレの初恋の人だ。今はどうあれ…な。 ちなみにオレは久城 薫(くじょう かおる) 薫って何となく女に付ける名前だと思わないか?それに少しコンプレックスを感じていたのは数年前……話がズレそうだな。ま、とにかくある1つを除いて何の取り得もない高校二年生だ。(あ、折原もな) 「~…知ってます?」 「へ?」 しまった。全く聞いていなかった… 「ですから、今朝のニュースです!」 ニュース? ああ、あれか。 「オリオン座の何とかって星が…」 「アルニラムですよ。」 「ああ、そうそう。あの3つ並んでるうちの真ん中のやつだろ?確かそいつの星の寿命が近付いてるとか。」 「正確にはもう寿命は尽きてるんです。アルニラムを出発した最後の光が未だ見えているだけなんですよ。」 へぇ~、そうなのか。 流石は折原、詳しいな。 「可哀想ですよね…」 「可哀想?何で?」 「だって、アルニラムが無くなったらオリオン座は二手に裂かれてしまうじゃないですか…」 「…そうか、そうだな。」 オレは少し苦く微笑んだ。
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