9人が本棚に入れています
本棚に追加
校門をくぐり、校庭の横を通って昇降口へ向かう。
今日はテニス部しか運動部は活動していないのかテニスコートからボールの跳ねる音が聞こえてくるだけで、校庭は静まり返っている。
「じゃあ私はここで。」
「ああ、またな。」
折原は料理部なので1階の一番奥の家庭科料理室へ向かう。
オレの部室は3階なのでここでお別れだ。
「おーす!久城。」
「なんだお前か。何か用でも?」
「お、お前数少ない部活仲間及び親友に対して言うセリフか!?」
「懇切丁寧にご説明ありがとよ。」
コイツは深見 恭介(ふかみ きょうすけ)
数少ないどころかたった1人の同学年の部員で、何故か小4の頃からずっと同じクラスだ。
いわゆる腐れ縁ってやつだろうか?それともストーカーというやつだろうか?
コイツは頭はいいのでオレなんかと同じ学校に居ることは有り得ないのである。
「とにかくさっさと部屋入ろうぜ?先輩ももう来てるし、何より廊下は寒い…」
「そう思うならさっさと行ってくれ。お前が謎な登場をしなければオレは5分前には部室に入っていたんだからな。」
「へいへ~い。」
「おはようございます朝霧先輩。」
「はい、おはよう~。」
「このバカのせいで遅刻しました。」
「おい!?オレとお前の会話5分も無かっただろーが。」
「クスッ♪はいはい、相変わらず仲の良いこと。
でも遅刻はダメよ?」
「「イエッサー!」」
息はぴったりだなオレら…
ところでこの人こそ我が部の部長である朝霧 奈央(あさぎり なお)先輩である。たった三人しかいないこの部活のオアシスだ。
………そう、三人しかいないんだよなーこの部活。ま、こんな田舎の学校のさらにマイナーな部活だ。仕方がないと言えばそれまでだが…
「さて、今日は予定通り風景画を撮りに行くわ。各自支度はしてあるわね?」
「してません!」
オレの隣で元気に手を挙げるやつがいた。
「………じゃあ出発よ!」
あの優しい朝霧先輩ですらスルーしたか。この人写真に対しては本気だからな…
あ、そうそう言い忘れてたけどオレは写真部に所属している。実力は…まぁ、知る人には知られているって感じ。賞もそこそことってるしな。
ちなみに、マジであのバカは置いていった。
最初のコメントを投稿しよう!