失恋《壱》

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『はぁ…。』 厳しい寒さの中を私は歩いている。もう真冬な侯である。そのうえ頓所に近付くにつれ、空模様は怪しくなり冷たい風がヒューヒュー音をたて浅葱色の羽織をなびかせる。 鉛色の空のもと溜息を零しながら一人帰路につく。 と、教科書に載っていた魯迅の故郷風に心境を表してみる。 何故このように気持ちが沈んでいるのかというのは、簡単に言えば《失恋》の一言ですむ。 小半刻前、人生初の告白をし玉砕。 .
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