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外に出ると見事に道が悪かった。俺は、傘をひろげて、泥にはまらないように歩き出した。
そういえば、今朝…練司が目をぱちくりさせて『今日は自転車じゃないんだね』と言ってきた。
そりゃそうだろう。
こんな雨の日に自転車なんて、馬鹿げてる。
そういうと、『昨日もその前も、雨の中濡れ鼠で、自転車で帰ってたのは誰だっけ?』と、言い返されてしまった。はい、俺です。
その事を思い出して、ふっと笑ったところに、練司が割って入ってくる。
「なに、にやけてんの?なんかの妄想?まさか、エロ…」
「そんなんじゃない!」
つい、間髪入れずに突っ込んでしまった。練司は、俺の横顔を見ながら、ニコニコともニヤニヤとも言えない表情をしている。
「顔が真っ赤だよ?」
「はぁ!?」
俺はとっさに頬を押さえる。
「うそだよん☆」
やられた。
練司のこう言うところにいつもだまされる。
練司はスキップしながら、鼻歌まで飛び出している。
曲は勿論、あいリンの愛・I♥YOUだ。
テーマソングみたいだな…。
そうこうしているうちに、練司は一人ですたすた行ってしまった。
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