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「痛く、ない?」
アキより十センチ程低い慎重のミサキが上目遣いで見上げてくる。その大きく可愛らしい目は額の瘤では無く、アキの瞳を心配そうに見つめていた。
「別に──大丈夫だよ」
決して大丈夫な訳では無かったが、この状態で泣きごとを言ったら男が廃る──いや、危惧しているのは更なる状況。今の状態だって中々にドキドキしているのに、これ以上女の子に近寄られるのは思春期的感情が爆発する危険が出てくる。
「座って?」
「へ?」
「良いから座って」
彼女が言うままにベッドに腰掛ける。彼女も横並びに座ると、不意にアキの額の前髪をかき分ける様にして瘤に触れた。
「ちょ、アヤサトさん……!?」
「ごめんね、じっとしてて」
先程の彼女とは違う、真剣な声。ほわほわした雰囲気は消え、まるで別人が居るかに思えた。
リペア
「───組織生成」
トーンの低い声で一言呟く。ぼうっと、蛍の光に似た幻想的な輝きが彼女の小さな手に宿ると同時に、仄かな温もりが額全体に広がっていた。瘤を触っても───って。
「瘤が、無くなった……」
「ふふ。最近覚えたの。治癒魔術」
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