2 戦火の影

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「……眠い」 「いい加減慣れたらどうだよ。もう一年は経つだろ?」 ベッドから出て、洗面等朝の準備を済ませるや否や眠気を零すショウに、呆れ顔でアキは言う。 幾ら訓練学校の朝が早いと言っても、もういい加減適合しても良いはずだ。入学当初は1学年の生徒の実に3割が寝坊するという散々たる様相だったが、鬼軍曹(正確には軍曹では無いが)の実に手厳しい───いや、あれは今思い出してもトラウマになる程の───”ご指導”によって、寝坊する生徒は全くと言って良い程減少した。 「どーせ今日の授業で睡眠補充するんだろ。先に言っとくけど、俺のノートは見せないからな」 「けっ。良いさ、ミサキか誰かに見せてもらうからさ。冷たいアキちゃんには頼らずとも俺の周りには優しい人間がた―くさん」 「今の言葉覚えたからな。試験前覚悟しておけ」 「はいはい、んじゃあとっとと行くぞ。オーディオルームだったか」 寮を出て別館の講義棟に移動する途中、銃砲科と抗魔術科の生徒も一緒に来ている事に気付く。 「あり?こんなに大勢。ただの映像授業じゃないのか?」 ショウが首を傾げる。 「何かあったのか……?」 アキの背筋に嫌な予感が走る。
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