1 アウトサイド

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───動いた……! 網膜が極僅かな動きを捕捉、目の前の男が放った瞬速の刃を感応する。 反射神経が追いつくか否やの刹那的時間。自分の剣を胸に引き寄せ、重厚な鋼の一撃を受け止める。 刃から持ち手まで、手が千切れそうな程の鈍い振動が伝わり、剣を手離しそうになるが、刃を食いしばってそれを阻止する。 相手はこのまま鍔競り合いに持ち込もうとする───が、そうはさせない。 そのまま剣を反動のまま背面へテイクバック。全身全霊の力で、剣を振り上げたままがら空きの胴体に斬り込む─── 「ごふっ」 が、体に伝わるは攻撃が通った感覚では無く、腹部に感じる猛烈な重圧と、胃からリバースして込み上げる酸味の効いた味だった。 吐き出さないよう口をすぼみながら鈍痛が響く腹部を見降ろす。見ると相手の大根の様に太い足から伸びた爪先が、自分の下腹部にブスリと突き刺さっていた。 意識が遠のく。このままではいけない。もう一度反撃しなければいけないと分かっているにも関わらず、視界に霞が掛かる。 「ちく……しょう……」 意識を失う前にに感じたのは、床に落とされ、その衝撃で額に痛みが走った感覚だった。
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