1 アウトサイド

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せめて、ジャケットくらい───が、上着を引っ掴んだ瞬間に、彼女は既にドアを開け凍結していた。当然、上半身裸のアキの体を目の当たりにしながら。 「えっと、エヘヘヘヘ……」 もう苦笑するしかない。急いでジャケットを羽織るが焼け石に水。ミサキ・アヤサトの顔は一気に紅潮していった。 部屋内に尋常じゃ無く気まずい空気が流れる。 アキもミサキもお互いに顔を赤くして顔を背けたまま全くの無言。言葉を話すのも恥ずかしいと言う具合だった。 沈黙。 … …… …………… 「「あのさ」」  ………… 「「───────!」」 「「どっどうぞそっちから!」」 口を開くタイミングが奇妙に合致してしまい、更に気恥ずかしさが増す。更に互いに譲り合うものだから、これはもう堪らない。 「い、良いよ……アヤサトさんからで」 「う、うん。じゃあわたしからね」 話の順番を譲られ、ミサキは深呼吸して話し始める。 「明日の訓練予定は変更。 翌日0500(マルゴマルマル)より、二号館オーディオルームにて記録映像を視聴する事になります。間違えの無い様にとの伝令であります」 若干形式ばったもの言いでミサキは連絡事項を告げる。
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