第2章

2/12
36235人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ
少ししょぼついた目で、空を見上げる。 いつも通りの、眩しい朝。 鞄を肩にかけた俺は、なんとなく重い足を引きずりながら、いつものように角を曲がった。 そして、いつものように長い、バス待ちの列。 思わず、立ち止まる。 列の中ほどに、笹森美羽の背中があった。 姿勢良く、静かに佇むその後姿が、なぜか目を引いた。 彼女とはかなり間を置いて、列の最後尾に並ぶ。 いつものように、本を取り出そうとして…。手を止めた。 少し、体の位置を左側にずらし、遠い笹森の背中を見つける。 なんとなく…。 今日は、笹森の姿を、眺めていたかった。 .
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!