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店の裏手に回り込み、駐輪場の陰に入る。
「……何、してんの。」
笹森は、黙って俯いていた。涙が、ぽとりと落ちる。
「…アレを使うのは…まあ、…いいとしても。
…万引きは、ちょっとね。」
もう一粒、ぽとりと落ちる。
「…ごめんなさい…。」
小さく詫びる彼女を、俺は黙って見つめた。
「…恥ずかしくて…。レジに、行くのが。」
「…。まあ、そうだろうね。……普通、こういうものは男の方が準備するもんだよ。」
「……。」
自転車で通りがかった小学生が、チラチラとこちらを見て、通り過ぎて行った。
「…庄司に、言われたの?…買って来いって。」
笹森が、大きな目をさらに見開いて、顔を上げた。
「…あたり?」
「……知ってるんだ、春山くん。」
笹森は、悲しげな目で俺を見ていた。
「…庄司に言っとけよ。…こんなもん、女の子に買わせるなって。」
「…違うの。」
笹森は、穏やかに言った。
「あれは、庄司くんが彼女と使うための物、なの…。」
「…?」
「わたしと庄司くんは、…そういう関係じゃないから…。
ただ、私は、命令された事をしただけ…。」
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