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背中の後ろで、立ち止まる足音。
「…じゃ、…ばいばい。」
顔が燃えるように熱い。
きっと、私の顔は真っ赤に染まっている。
…とても、振り向く事は出来なかった。
「あ…うん、ばいばい。」
日誌を書く振りをして、前を向いたまま応える。
春山くんの足音が遠のくと、私はふうー、と長い息をついた。
…春山くんと、話せた…。
私は、その余韻にしばし浸った。
…とりあえず、…名前は、知っててくれたみたい…。
嬉しい。
でも…。
居眠りしてたのは、…ちょっとさすがに、恥ずかしかった。
私は、時計に目をやった。
もう、6時近い。
…今日も、すっぽかされたかな…。
『今日の帰り、教室で待っててよ。』
庄司くんは、たまにこうやって私に、教室で待つよう『命令』する。
迎えに来る場合と、そのまま姿を現さない場合の割合は、半々くらいだった。
でもそのおかげで、今日は春山くんと話す事が出来た。
私の心は、弾んでいた。
6時まで待って、来なかったら帰ろう。
そう決めて、日誌の続きを書こうとした時だった。
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