第31章

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背中の後ろで、立ち止まる足音。 「…じゃ、…ばいばい。」 顔が燃えるように熱い。 きっと、私の顔は真っ赤に染まっている。 …とても、振り向く事は出来なかった。 「あ…うん、ばいばい。」 日誌を書く振りをして、前を向いたまま応える。 春山くんの足音が遠のくと、私はふうー、と長い息をついた。 …春山くんと、話せた…。 私は、その余韻にしばし浸った。 …とりあえず、…名前は、知っててくれたみたい…。 嬉しい。 でも…。 居眠りしてたのは、…ちょっとさすがに、恥ずかしかった。 私は、時計に目をやった。 もう、6時近い。 …今日も、すっぽかされたかな…。 『今日の帰り、教室で待っててよ。』 庄司くんは、たまにこうやって私に、教室で待つよう『命令』する。 迎えに来る場合と、そのまま姿を現さない場合の割合は、半々くらいだった。 でもそのおかげで、今日は春山くんと話す事が出来た。 私の心は、弾んでいた。 6時まで待って、来なかったら帰ろう。 そう決めて、日誌の続きを書こうとした時だった。 .
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