第31章

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私は立ちあがり、窓の方に向かった。 空にはすでに、夜の帳が下りていた。 月から離れたところに、小さな星を見つけ、ぼんやりと眺める。 春山くんと私の距離は、…きっと、月とあの星よりも、もっと遠い。 下を見ると、昇降口の方から、春山くんが歩いて来るのが見えた。 こちらを見上げる彼に、思わず手を振る。 彼が照れくさそうに上げてくれた手が、とても嬉しかった。 「誰に手振ってんだよ。」 後ろから突然声をかけられ、私は驚いて振り返った。 「…庄司くん…。いつからいたの。」 庄司くんが、窓の外を覗き込もうとしたので、私はさりげなく身体でその視線をガードした。 「さっきから、お前の後ろに立ってたよ。普通気付くだろ。」 「気付かないよ…声、かけてよ。」 私は彼の注意を窓の外から反らすために、自分の席に戻った。 日誌を書き上げようとペンを取ると、いきなり髪を引っ張られ、わたしは悲鳴を上げた。 「やっ…痛い…っ。…やめて…。」 「笹森さ、…ちょっと、これから付き合ってよ。」 「え…。」 「面白いもの、見たくねえ?」 痛みに顔をしかめながら見上げると、庄司くんは、冷ややかな目で私を見下ろしていた。 .
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