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庄司くんの家は、わたしの住むマンションとはバス通りを挟んでちょうど反対側の、閑静な住宅街の中にあった。
門を入ると、右手に古い犬小屋がぽつんと置かれていた。
中に犬の姿は見えない。
「こっち。」
玄関ではなく、左手の奥に向かって歩いて行く庄司くんの背中に付いて、小さな庭を進んだ。
増築されたらしい真新しい壁に、ガラスの引き戸がついていて、庄司くんはそこを開けると、中に鞄を放り投げ、靴を脱いで足を踏み入れた。
電気がパチ、と点くと、意外ときれいに片付いた狭い部屋が照らし出された。
「入って。」
わたしは一瞬、入ることを躊躇したが、すぐ近くの台所に人の気配があることを確認し、靴を脱いだ。
私が上がり込むと、庄司くんは硝子戸を閉め、分厚いカーテンをシャッと引いた。
「なんか、怯えてる?」
庄司くんは、からかうような口調で言った。
「奥に母ちゃんいるから、無理矢理ヤッたりしないよ。安心して。」
庄司くんはわたしをテレビの前に座らせ、テレビ台の下からディスクを取り出すと、デッキに入れた。
再生ボタンを押し、一時停止を押してから、リモコンを手に、私の隣に座る。
「……目、そらしちゃダメだよ。」
庄司くんはニヤリと笑って、一時停止を解除した。
画面に現れたのは、裸の男女だった。
素人の撮影らしく、画像は揺れ、ひどいものだったが、カメラは二人の全てを、はっきりと映し出していた。
「すげえだろ。…ウラ、観たの、初めて?」
私は、じっとその画面を見つめていた。
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