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「これね、女の方がドMでさ。…途中から、けっこう面白いことになって来るんだよね。
最後には、カメラマンまで一緒になって、楽しく参加、みたいな。」
庄司くんは、楽しそうに私の顔を覗き込んだ。
「お前はどうなの。…この女みたいなこと、されたいって思う?」
私は、黙って映像を観続けた。
腕を縛られた女性は、陶酔し切った顔で、男の手に自分を委ねている。
映っている女性が、自分と重なって見えた。
このまま進んで行ったら、いつか私も、こんな風に人前で痴態をさらけ出し、そうすることでしか悦びを得られなくなってしまうかもしれない。
私と、この映像との境界線は、どこにあるのだろう。
果てしなく遠いところにあるのか、それとも、…すぐ、側にあるのか。
そのラインを越える時、…私の傍には、一緒に誰かが居てくれるのだろうか。
隣から、庄司くんの手が伸びて来た。
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