第4章

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「はい、それじゃあ、……希望者!いる?」 担任の久保葉子先生が、そう言って教室を見まわした。 「いない、わよね。…みんな、忙しいものねえ。」 先生は暫く考えていたが、くるりと背を向け、つかつかと教壇に向かった。 何やら、紙切れを準備している。 ……くじ引き。 俺は、頬杖をついたまま、その様子をぼんやり見ていた。 黒板には、横書きで、『映画鑑賞会』と書いてあった。 前学期と後学期、各1回ずつ、年2回行われる、全校生徒による映画観賞会。 体育館の大型スクリーンに、映画を映写機で映し出す、本格的な上映会だった。 その候補作品を選ぶ当番が、たまたま葉子先生の受け持つ、このクラスに回って来たらしい。 「係になった人には、何作か観て、候補作品を5本ほど上げてもらいたいのね。 その中から、ふさわしいものを先生たちが会議にかけて決めます。 あまりたくさんの人数でやると、まとまらなくて混乱するから、男女各1名ずつ。 だれか、映画が大好きな人、立候補してくれる?」 毎回、そんな風に作品が決められているとは知らなかった。 勝手に先生たちが決めていると思っていたのに。 「先生が決めりゃいいじゃん。」 だれかが面倒そうに言う。 「昔はそうだったんだけどね。 …やっぱり、先生たちが選ぶものって、つまんないのよね。 ほとんどの生徒が、寝てた。 …だからこそ、みんなのセンスが必要なわけよ。 …はい、それじゃあ、希望者、いる?」 .
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