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まさにいはあっという間にやって来て、私を駐車場まで呼び出した。
小雨の降る中外に出ると、いつものヴイッツではなく、空手の遠征で使う為のミニバンで来ていた。
何故か車の外にしゃがみ込んで、悲しそうな表情を浮かべて雨に濡れていた。
まるで、可哀想な捨て犬・・・・・・
・・・を装う、悲壮感たっぷりのまさにい。
それを見て、どうしてだかまた、ドロドロの黒い塊が胸の中を駆け巡る。
「どうして車の外に居るの?濡れちゃってるよ。」
「さっき、あんまり急いでたら縁石に乗り上げちゃって・・・ホイールが曲がって変な音がしてるんだよね・・・俺、ちょっともう参っちゃって・・・」
彼は普段から運転が荒いから、致し方ない気もするんだけど、今はそんなこと言えない。
「車、走れそう?」
ここで立ち往生とか困るし、万が一退院した旦那が様子でも見に来たらと思うとゾッとする。
「何とか家までは帰れそうだけど・・・」
相変わらずまさにいは、泣きそうな顔でしゃがみ込んだままだ。
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