~本当の強さ~

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「酷いよ・・・なんで俺じゃないの?」 泣きながら、やっと声を絞り出しているまさにい。とても辛そうな声に、色々な事を思い出してしまってこっちまで泣きそうになる。 でも今は泣けない。私は、敢えて冷たく淡々とした口調でこたえた。 「そういう所が無理なの。別れるって言うといつも被害者ぶって見返りを求める。じゃあ私の気持ちはどうなるの?全部我慢して好きなふりしてたら満足?」 まさにいは頭がいい人だ。私の言葉に間髪入れずに返してくる。 「だったら、今までの俺の我慢や努力はどうなるの?俺の事をちゃんと恋愛対象として見てよ!ナナだって努力してよ!」 泣きながら、感情的になりながらも理屈っぽく返すのは流石だけど・・・。 「これでも随分考えたし、何度も助けて貰って感謝もしてるよ。だからこそ、ちゃんと気持ちを伝えて向き合ってる。まさにいが私の事を大切に思ってくれてるのと同じように、私もその人の事を大切に思ってるし諦めたくない。まさにいなら、その気持ち、1番解ってくれるでしょう?」 「・・・でも・・・辛いよぉ・・・嫌だ、嫌だよ・・・」 普通なら、10歳以上も年上のオジサンの涙とかドン引きでシャットアウトものだけど、こんなことに巻き込んだのは私にも責任が有るし、今まで散々助けて貰ったから何も言えなくて・・・。 「・・・・・・。」 ただ、黙って外の雨を眺めていた。
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