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俺は紗英の部屋を見回してみた
白黒を基調とした部屋で、タンスもカーテンも壁紙も、全部白か黒だった
「だから、恥ずかしいからあまり見るなと言っている」
「あ、ごめん」
白黒の部屋なんてなかなかにして珍しいからつい見回してしまった
「あ、これお見舞いの品。安物だけどね」
そう言って下田が渡したのは来るときに買った、洋菓子店のプリンだった
「ああ、すまな………」
途中で言いかけて、紗英はゴホゴホと重い咳をした
「だ、大丈夫か紗英!?」
「だ、大じょ………ゴホッ………んん、ただの風邪だ」
紗英は辛そうに何度も何度も咳を繰り返す
「いや、その咳はただの風邪っぽくは………」
「そ、それより!今日はどんな授業をした?」
紗英はいきなり言葉を遮ってきた
「………は?授業?」
「私は、早く風邪を治して授業に追いつかなくてはならないんだ。だから今の内にお前達に今日の授業の様子などを聞いておきたい」
「いや、おま、そんなの気にしてないで休んでろよJK」
「さっきまで寝てたので大丈夫だ。問題ない」
「………はあぁぁぁぁぁ…大丈夫じゃないだろぶぁかめ」
俺は無理矢理に紗英の体をベッドに寝かせて、布団を上にかけた
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