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「えっと、じゃあ………さ、紗英………さん」
「さんは要らん」
「………さ、紗英」
「なんだ宗介」
………なんかカップルみたいで恥ずかしいね
「名簿は見つかったし、早く戻ろうよ」
「………まあ、待て」
「ん?どした?」
「そんなに慌てて戻る必要は無いんじゃないか?」
「へ?」
何を言ってるんだろう?早く戻らないとホームルームどころか一時限目にも間に合わなくなってしまうじゃないか
「それとも………私と一緒に居るのは………嫌か?」
「うっ!」
そ、そんな上目遣いで可愛い事言われたら教室に戻れないじゃないか!
………え?てゆうかもしかして………紗英は俺の事好きなの?いやいやまさか………だっていつも俺に突っかかってくるんだぜ?そんなギャルゲーじゃあるまいし、愛情の裏返しで突っかかってくるなんて事………あれ?もしかしてこれってそれなんじゃね?
「え?フラグキタ?」
「いきなり何を言ってるんだお前は?」
-----プルルルル
唐突にそんな音が聞こえてきた
「私のだ」
紗英が電話に出る
「もしもし、私だ。………そうか、分かった。今からそちらに戻る」
紗英は電話を切ると、俺に顔を向けた
「さっきの言葉は取り消しだ。さっさと戻るぞ」
………ええぇぇ………?
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