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「こんにちは」
『あら、こんにちは』
「あの…彼女は……」
『あの人ならいつもの中庭よ』
「ありがとうございます」
男は中庭へと足を運んだ。
其処にはベンチに腰を掛けた女性が日向ぼっこをしていた。
「……あの、」
『はい?……どなた…?』
「はじめまして、僕の名前は樹(イツキ)と申します」
男はそう言って軽く会釈をした。
『はじめまして』
女性も、そう言うと柔らかい笑みで返した。
「……あの、これを」
男は、手に持っていた蘭の花束を渡した。
『わぁ…綺麗…!!私、蘭の花が好きなの。……でも、どうして貴方は私の好きな花を知っているの?』
「此処の人から聞いたんです。蘭がお好きだと」
『まぁ、そうだったんですか』
「……あの、」
『……はい?』
「貴女のことが好きです」
『え?』
「初めて見たときからずっと……貴女に一目惚れをしました」
『私……に…?』
「はい」
そして男は、一呼吸置いて言った。
「これから先も、貴女を愛し続けてもいいでしょうか?」
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