2人が本棚に入れています
本棚に追加
女性は部屋へと戻り、ベッドに腰掛けていた。
―コンッ、コン
『はい、』
―ガラッ
「やぁ、こんにちは」
部屋に入ってきたのは、朝の時とは違う男だった。
「今日も変わりはないかい?」
『……先生、』
「ん?」
『私……今日、告白されたの』
「告白?」
『男の人に。“好き”って、“愛してる”って』
「へぇ…」
『その人、樹さんっていう人なの。私の大好きな蘭の花束をくれたの。そうしたら、“好き”って言って……』
「ほぉ…」
『ね、先生。そのあとにその人、私になんて言ったと思う?』
「なんて言ったんだい?」
『“これから先も、貴女を愛し続けてもいいでしょうか”ですって……』
「それは素敵な言葉だね」
『とても真っ直ぐな目で言ってた……初めて会った人なのに、どうしてだろ…まるで私、前からその人のこと知ってるみたいで……』
「……そうか」
そう言って男は、窓へと顔をやった。
外は、夕焼けが輝いていた。
最初のコメントを投稿しよう!