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「……先生、」
「ん?……あぁ、君か」
先生と呼ばれていた男が、女性の部屋を出て廊下を歩いていると、其処には樹がいた。
「先生……彼女は…」
「体に異常は無いよ、安心してくれ」
「そうですか……」
「蘭の花束……彼女、凄く喜んでいたよ。それに君からの告白も」
「っ!!…本当ですか!?」
「あぁ、本当だ。とても嬉しそうに話してくれたよ」
「あ……すみません、いつも…」
「いや、いいんだよ。気にしなくて」
「今日は帰ります。彼女が喜んでくれたなら、僕も嬉しいし」
「そうか……」
「それでは先生、失礼します。明日もまた来ますので」
そう言うと、樹は先生の前から立ち去ろうとした。
「あ、樹くん」
「はい?」
先生は、樹を呼び止めた。
「そういえば、もう何回彼女に愛を伝えたんだっけ?」
この問いに対して、樹は微笑みながら答えた。
「分かりません。100回以上言ったのは確かなんですけど」
そう言って樹は立ち去った。
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