雨の歌

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―ザー…ザー… 外は大きな音を立てて雨が降っていた。 今は6月。俺が最も嫌いな月。 それは俺だけじゃなくて、大抵の人は忌み嫌う時期だと思う。 「はぁ……」 『どうしたの?ため息ばっかり』 俺がため息をつくと、美雨(ミウ)が俺の顔を覗き込んだ。 「いや……」 雨がな、と、一言言ってまた俺はため息をつく。 『仕方ないわよ、梅雨なんだから』 「分かってる。分かってるけどさ……」 こうも耳を突くほどに音を立てて雨が降るといい加減に苛ついてくる。 俺は雨が大嫌いだ。 理由は小さい頃経験したことからだ。 楽しみにしていた遠足が雨で中止になったり、 運動会が中止になったり、 極め付きは、小学校低学年くらいのときに、友達とサッカーして帰る頃に雨が降って生憎傘を持っていなくて、ずぶ濡れで家に帰って…… 親には怒られるし、風邪はひくし 俺は心底雨が嫌いだった。 『なんでそんなに雨が嫌いなのかなぁ?』 「普通みんな嫌いだろ。雨なんて何も良いところが無いし、」
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