2人が本棚に入れています
本棚に追加
あいつとはいわゆる『腐れ縁』ってやつで、幼稚園から高校生の現在までずっと同じ学校、同じクラスだった。
幼馴染みで、小さい頃からずっと一緒だったから、なんか異性だってことを忘れることだってあった。
男勝りで、スポーツ万能。
頭は俺とあんまり変わらないくらい。つまり悪い。
すごく気があって、一緒にいたらいつも笑ってた。
鈴華って名前とは無縁なくらいに、時には俺より男らしいこともあった。
「陽人(はると)~おはよ~う!」
鈴華の声だ。
俺の通学はいつもここから始まる。
朝の澄んだ空気を走るように、軽快で、でも力強い声。
肩までの髪を風になびかせて、鈴華(れいか)は自転車を走らせる。
「おう。」
いつからか照れ臭くなって、俺は小さく手をあげるだけになった。
そんな俺に鈴華は「昔は手、つないでくれてたのにね♪」なんて微笑みかけた。
俺はそのとき、まともに顔さえ見れなかった。
気付いたら俺は、鈴華を異性として見ているときがあった。
最初のコメントを投稿しよう!