不埒な純情

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下にクる妙な刺激に違和感を感じながら彼は目が覚めた。 鼻に抜けるような息遣いが妙に生々しい。 下を見なくたって分かる。どうせその吐息は特定の人物だと決めつけてるらしい。 「おはよ…目ぇ覚めた?」 悪びれもせずに含み笑いをするソイツに彼はやっぱりと呆れの表情を浮かべた。 返事もしない彼に またソイツは笑う。 「起きてるでしょ?ほら。 ガッツリ起きてんじゃん。」 おれの目はそっちじゃねぇ。 と彼は切り返したかったが別に聞きたいことがあった。 「……ナニしてんの?」 本日。 彼の第一声がそれだ。 「ナニしてんの。」 で、ヤツの返答がこれ。 彼はくぐもった溜め息を零して苦言する。 「朝から盛んなよ。」 「違うでしょ、 朝はまず、おはようのキス」 ちゅって…… ソコにするな。 「……へんたい、」 「あらやだ、可愛い。」 「うれしくねぇよ。」 「褒めてないです。」 一見ケンカにも聞こえるやりとりは日常茶飯事なのか角が立つことはなく、どちらかと言えば少年同士の会話のように愛らしくも見える。 あくまで雰囲気だけの話だが。 「……ばか。ムカつく。」 「その割に違う腹まで立ててますけどね。」 「あんたのせいでしょ」 「へぇ…俺のせいなんだ?」 「ちがうの?」 「違うって言ったら?」 「…ヘコむ。」 「んふふ、大丈夫。 俺は朝専用だから。」 聞こえが悪いが彼はその言葉で安心したらしく、ホッと一息ついた。 「良かった。」 「どうして?」 「せっそーナシじゃなくて。」 「いや、今でも充分節操無しですからアナタ。」 「…うるさい。」 ポツリと呟く彼の言葉は小鳥の囀りにですら掻き消されそうになる。 「ごめんなさいね、 せっかく慰めてあげてるのに。」 ワザとらしく溜め息をついて主体だと勘違いしてるそこに息を吹きかけるソイツに悪意を感じた。 .
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