不埒な純情

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「優しく…優しくね?」 「知ってます。我が儘だなぁ… 俺が夜なら良かった。 それより、いいの? 負担かかるのはアンタだよ。」 「いいから…ハヤク」 彼は急かす。 夜まではまだ長いらしい。 「受け入れてくれるのに… 選ぼうともしない… ゲームは終わらないの?」 苦しそうに、それでも容易く繋げてから問い掛けける。 「…終わらない。 あの人…が、気づくまでっ」 「あの人はこのゲームを知らないよ…っ。気づいても、選ぶとは限らない。」 「っ…言うなよ、」 「アンタはそれでイイの…っ?」 「イイ…っ。おれが終わらせないだけだから…」 「可哀想…みんなアンタが好きなのに。」 「好きならもっとクレよ…」 「ヤダ。あげない… 選んでくれるまで…」 「いじわる…っ。」 「ハッ、どっちが…っ?」 溢れ出る吐息に 乾いた愛が紡がれる そんな朝のハナシ。 ソイツは嘆く。 百万回救いの手を差し伸べても彼は受け取ろうとすらしないのだと。 「あんたが選んでくれるまで… あと何回、同じ夢を見るの…?」 「何回でも…もっと、 足りねぇよぉ…ッ」 「馬鹿な人…。」 今、彼らは夢の中。 ただただ、同じ物語を 何遍も繰り返す。 終わらない悪戯(ゲーム)。それが平穏を求めた彼らが行き着く先だった。 それでも、 決して夢は終わらない。 夢の支柱である彼自身が、 終わらせようとしないから。 「…もう、足りたの?」 この言葉は彼のモノだった。 「もう、やーめた。 朝だし。疲れるじゃん。」 「朝は満足させないの?」 「俺じゃ出来ないくせに。」 「ふふ、出来ないね。」 「エグいね、朝なのに。」 「つまんねーな…」 ポツリと発した呟きに彼が笑う。 「あははは、夜に期待しなさいよ。俺じゃなくて。」 「お前が一番 しっくりクるんだけどなぁ…」 「だったら…まぁ、いいや。 今日はもう誘わない。」 「また誘って?」 「気が向いたらね。」 微笑みながら 軽く唇を重ね合わせる .
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