不埒な純情

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「おい、いつまでヤってんだよ。」 扉を開けて唸る客に目を合わせる。 「あ、夜専用が来た。」 ソイツが彼を抱きかかえたままニヤリと頬を吊り上げた。 「は?何それ。 いいからハヤく起きろよ。」 「俺達起きてたよねー?」 「ふふ、ね~。」 苛立つ顔を見ながら柔和に彼も便乗した。 「はぁ…お前らのコンビが一番面倒くせぇ…」 「マジで?あなた、一番だって。」 「マジ?すげぇな、」 「んふふ、誉めてないって。」 「知らなかった~ こういうの好きな人かと思ってたんだけどなぁ…」 「お前は好きだけど、2人でどうこう…ってのは嫌なだけだよ。」 「独占する気?」 「したいけど無理でしょ。」 「だって。どうする? アンタ鎖で繋がれたりしたら。」 「ヤダ~、ドSぅ。」 「なはははっ、 何そのテンション。」 「縛るとかムリ。 痛いもん」 「だってさ、夜専用さん。」 「それ呼び名なの? え、何。嫌味?」 「内緒~」 「ないしょ~」 2人とも愛らしい魅力を持っているものの揃うと質が悪い。既知の事実なのか苛立ちも呆れへと直ぐにシフトしたらしい。 「もういい、疲れた。 朝飯冷めても知らないからな。」 「ふふ、ありがとー ダイスキ、夜専用」 「だから、夜専用って何だよっ!!」 「内緒~」 「ないしょー」 ケラケラと笑い合う2人に客は溜め息をつく。 「はぁ、もう知らね。 勝手にしろよ」 「分かりましたよ、 直ぐ行かせますんで。」 「ちゃんと服着てこいよ。」 怪訝そうにしながら 客は出て行った。 「朝から怒ってたね。」 「さぁ? アンタのせいじゃなーい?」 「えー、おいらかよぅ。」 「知らないよ? 今日の夜はスッゴいかもね。」 「マジ?スッゴいのかぁ…意外と優しんだけどね。普段は。」 「満足してる?」 「そこそこ。」 「へぇ…やっぱり、 彼でも無いんだ?」 「うん。」 「やっぱり、 あの人なんだ?」 呆れたように笑いながら聞き飽きた言葉を待つ。 「分かんない…」 「あれ、意外。 揺らいでるの?」 「ううん、変わんないよ。」 「あっそ、早く終わらせてね。 こんな下らないゲーム。」 「そう思ってんのお前だけだろ?」 「どうでしょう、ほら、行きましょ。飯が冷めるって。」 「今日はパンかな。」 「いつもパンだよ。」 お手繋いで迎えましょ。 昨日とおんなじ今日を。 悪戯は終わらない 誰かが壊れるか 彼が変わるまで。 (目覚の悪い朝 END)
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