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僕は、高科先生が苦手だ。
女性より苦手だ。
いつもぼーっとしてるように見えてちゃんとしてる、というか。
いや、ぼーっとしてる訳ではないか…
無表情で無言だからそう思っちゃうというか…。
何を考えてるか分からない。
僕と1歳しか変わらないのに
高科先生は凄く大人だと思う。
「…加藤先生、」
「は、はい!なんですか?」
そして
こんな風に目を合わせて話すのは初めて、だったりもする。
「今日、放課後、忙しい?」
眼鏡の向こうに、眠そうな目があった。
「部活が終わってからは、特に何も…。」
「…ん…。」
ん…。って
放課後、二人で実行委員会について会議、って事だよね…。
…主語がない人だなあ。
でもまあ、二人で会議とか持ちかけてくれるって事は、やる気はあるって事なんだよな。
僕の事も嫌ってないみたいだし…。
いい人なんだとは思う
だけど掴めない
文系と理系って、
こうまで違うものかなぁ…。
―…
「…という事で、クラスで1人か2人、体育祭の実行委員やってほしいんだよね。
実行委員って言ってもアンケートとか伝達とかそれぐらいなんだけど…
誰か、やりたい人ーっ」
しーん。
…加藤先生の苦笑いが生まれる
「…やります。」
私は、沈黙の空気の中手を挙げた。
決まらないと加藤先生困るだろうし、何より私にはまだ昨日の罪悪感があったから。
―…手を挙げた人に皆の目線が集まる
「岩崎さん…有難う。」
それは当たり前な事なのだけど
『なんでアイツが?』
『お前がやっていいなんて誰も言ってねーよ』
そんな女子の声が聞こえてる
「はい、んじゃ俺もやるわ。」
私を庇ってか、関係ないのか、分からないけど。
慶吾が手を挙げたのが、ちょっと気になった。
「おぉ、佐山。
んじゃ、二人に頼もうかな。」
*
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