理科教師(生物)

2/27
前へ
/44ページ
次へ
―…… 「タオル… 有難うございました…。」 「…あ…うん。」 「…今日は、実験じゃないんですね。」 「アロマディフューザー。 今からつけるよ。 …右か左、選んで。」 「え、何の…」 「いいから。」 「え…じゃあ、左…。」 「…ん…。」 カップの中に、アロマを入れる。 「左、ゼリニウム。」 アロマディフューザーのスイッチを押す。 「…いい匂い…ですね。」 「…座りなよ。」 「あ、はい…。」 アロマディフューザーから出る霧と ほんのり変わっていく色 「…先生…。」 「……?」 「昨日…私、泣きそうな顔してましたか……?」 「………。 …してなかったと思うよ。 …普通の人が見れば…。」 普通の……人…? 「…なんとなく、だったよ。 …何か抱えてるんだな、って」 「…凄いですね…」 「……泣かなきゃ、いけない」 「え……?」 「君は、泣かなきゃいけないと思ったから。」 泣かなきゃ、いけない 「我慢する必要なんてない。」 「……。」 「そう思ってるから。」 「…私…もう何年も、泣いてなかった…。」 「……。」 「泣いたら… いけないって……。」 「…話、聞こうか…?」 自分の事、自分の悩み 今まで誰にも言ったことなかった。 私の想い。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加