理科教師(生物)

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「遥。風邪引かないうちに頭乾かしなよ。」 「あ、はい……。」 職員室の中は、廊下よりもうんと明るくて、眩しいくらいだ。 「…ドライヤー…は… ないですよね………。」 「残念ながら。」 と言いながら、ワンセグでテレビを見てる。 「…洪水…情報…?」 「ん―… 日本が沈みかけてる。」 「「えぇええΣ」」 私と加藤先生の声が響いた。 「電気通らなくなるかも。 結構悲惨だなぁ。」 画面の中に、荒れ狂う海のような町が見える。 「全国で起こってるんですね」 「ここでも。」 「えΣ」 「外こんなんじゃ皆帰れないよね。」 加藤先生が窓の外を眺める。 校舎は階段の上の高い位置にあるから大丈夫だが、 グラウンドはすでに川と化していた。 「…皆帰れない… ケータイもないし…。 …と、いうか」 「「ん?」」 「何で二人はこんな朝早くから?」 加藤先生、爽やかに。 「泊まり込みだったから。」 「泊まらなきゃいけないぐらい仕事あったんですか…?」 「緊急でさ。 あ、丁度良いや。 実行委員の岩崎さん。 これ見てみて。」 加藤先生は 『体育祭実行委員会(1)』 と書かれた冊子を私に手渡した。 「これ…作ってたんですか。」 「今日、実行委員会やる予定だったじゃん。」 「そうでしたね。」 「だから高科先生と、急いで作ったんだけど… 急ぎ損しちゃった。」 「高科先生…と?」 「高科先生も、この実行委員会担当だから。」 昨日 高科先生の車の中で 交わした言葉 『明日理科室… 行けそうにない…。』 『あ…。はい、私も…。』 「い、岩崎さん? 顔赤いよ、どうしたの いきなり黙っちゃって…。」 「―…っ//」 ぶんぶん、首を振った。 嗚呼 どうやら私は雨に打たれて馬鹿になってしまったらしい。 そんな、 そんな偶然なのに。 運命を感じてしまう私は 本当に、 馬鹿です。 「はっくしっっ//」 「だー、 風邪引くって… 言ってんじゃん…///」 高科先生は、タオルを私に被せる。 「高科先生…? 顔、赤―…」 と言った瞬間 背後から タオルで、私の髪を乾かしだす。 「いいから… こっち…見ないで…//」 *
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