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―…
「で、外が落ち着いたので1人で傘借りて帰ってきた、と。」
「うん。」
岩崎 奏(イワサキ カナデ)、23歳。
私のお兄ちゃんです。
「学校にシャワーを浴びに行ったのか。」
「違うよΣ」
あれから、家に帰ると
大学生になってからずっと一人暮らしのお兄ちゃんが居ました。
「その学校にいた教師2人って、男?」
「…ん、んん……。」
「…そうなんだな。」
「え、なんか駄目…?」
「駄目だろ、教師を誘惑するような事したら。」
「してないよ!」
「何言ってんだ馬鹿。
お前乳がデカイだけが取り柄じゃねーか。」
「酷いっΣ」
「まあ…
襲われなかったらよしだな。
無事に帰ってきたし。」
なんだかんだ言いながら、
いつもこうして優しく頭を撫でてくれる。
我ながらシスコンでブラコンな兄妹だなぁ、とは思うけどね。
「………。
……って
お兄ちゃん、
世の中は洪水で大騒ぎなのに、どうやって家に…?」
「俺の車は洪水とか関係ないからな。」
「あるでしょ!!!」
お兄ちゃんはつくづく変で、凄い人だと思う。
「お兄ちゃん、帰ってきたの正月以来だね。」
「ん―。」2人、リビングでゴロゴロしながら、お兄ちゃんは私の髪の毛をいじっている。
「次はいつ帰ってくるの?」
「………ずっと」
「え?」
「ずっと、っていうか…」
「??」
「今日からまた、
ココに住む事になったから。」
「……うにょ!?」
「なんだうにょって(汗
…いや…仕事飛ばされて、
このへんになったから。」
「え、仕事………」
お兄ちゃんは、
私に仕事の事を何も教えてくれません。
何の仕事をしてるのかすら解りません。
ていうか大学すらどこに行くか教えてくれなかった…!
「父さんと母さんに連絡したんだけどな…そしたら、
『奏がいるなら遥も安心だ』
だとかなんとか言って、
二人とも仕事に専念したいからしばらく家に帰ってこないって、さ。」
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