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『岩崎さんって1人でいる事多いよね』
『1人が好きなんじゃないの?』
『一匹狼のフリしてカッコつけてるんでしょ?』
『いえてるー(笑!!』
『優香ってさ―、よく岩崎さんとつるんでるの見るよねぇ。』
『引き立て役とかそんなんじゃないのー(笑?』
『優香優しいから、暗い子にボランティアみたいなっ!!』
『ひどーっっww(笑』
“そんな事言ってんなよ!”
“お前が岩崎さんの何を知ってるってんだ!”
いつも、いつも
そう言いたいのを堪えている。
「岩崎…。」
「なんですか?」
「いや、その」
「?」
「な、なんでもない。」
加藤瞳、26歳。
彼は気弱な英語教師。
―……
高校生になってはじめてのテストが終わって
高校生になってはじめての
雨の季節が
もうすぐやってくる。
『明後日から雨だってー』
『もう梅雨だねー』
帰りのホームルームが終わるチャイムが鳴って
今月最後の夕焼けが
教室を照らしはじめる。
―あ…居残り授業…
忘れてたよ、うっかり。
…今朝も加藤先生何も言わなかったから…。
先生、
教室を出ていく生徒達に手をふりながら、少し私を気にしているみたいで。
『帰るなよ』
って事でしょーかね。
―……トイレ、行っとこう。
鞄を机に置いたまま、教室を出た。
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