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私の教室は学年の中でも1番西側にあって、
トイレは西校舎の端をよく使う。
―……理科室の、脇にあって。
……―キュッッ
蛇口を閉じて
鏡を見上げて
「自分の顔ガン見してるよ
ナルシスト…?キモ…。」
ひそ、ひそ
「自分カワイイとか思ってるんじゃないのー?」
ひそ、ひそ
筆を洗いに来ていた美術部の
そんな子達の声を後ろに感じながら
私は
しばらくその場から動けなかった。
―……別に、
私が特別悪いことをした記憶なんてない。
私が特別変な事をした記憶なんてない。
私は基本、
特別好きな人以外と関わろうとは思わない人間で。
クラスの女子とも
あまり言葉を交わさない。
大雑把な性格からなのか、男友達は何人かいるけれど。
それが原因で変な陰口を言われるようになった。
別に男好きな訳じゃない。
ただ、
私と気が合う女の子が、
少ないっていうだけ。
でも友情は義務じゃないから
無理に女友達をつくろうとか考えてないし、
陰口を言われても生活に支障がなければいい
そう思ってた。
最近―……
優香がまわりの女子からいろいろ言われてるのは知っている。
…私の事で。
優香は、関係ないのに。
なんでかな
なんで
なんで皆、
素直に生きれないんだろう。
それは…私も………。
―…………
気付いたら私は
扉の前に立っていました
理科室の
薬品の匂いが漂う扉の前に
*
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